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「キミがいるから輝ける」――『キミとアイドルプリキュア♪』における光と闇の脱構築

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わたしたちをとりこにした美しさ、そしてわたしたちが互いを一瞥しあうなかで、わたしたちの身体にある美しさが―老いも若きも、太っているものも痩せているものも、筋肉質のものも弛んでいるものも―まばゆく輝いた。 アルフォンソ・リンギス『暴力と輝き』、水野友美子・金子遊・小林耕二訳、水声社、2019年、p.248  はじめに  キラッキランランな輝きを放っていたアイドルプリキュア。一年追いかけた彼女たちの活躍が見られなくなって寂しさの募る毎日だ。プリルンが咲良うたを見出したことから始まった物語。それは仲間を増やし、ファンを増やし、そして敵さえも味方にしていった。私にとって初めてのプリキュア作品であるところの『キミとアイドルプリキュア♪』(以下、キミプリ)は私に多くのことを教えてくれた。ここではその一つであるところの「輝き」の話をしたい。  先述の通り、これまでのプリキュア作品はほとんど知らない(まほプリ、ひろプリ、わんぷりを観始めたところ)し、いわゆるニチアサのヒーロー系の作品も通ってきていないと、断りを入れておく。その上でだが、ヒーロー(スーパーヒロイン)ものの定番といえば勧善懲悪のイメージが一般的といっても異論はないであろう。主人公らは正義の味方として描かれ、敵対する悪やその組織と戦うというのが大まかな構図だ。  キミプリも表面上の構図は同様で、チョッキリ団のボス・ダークイーネがキラキランドを襲い、真っ暗闇にしてしまう。そして人間界にもその手を広げようとするチョッキリ団に対抗するため、救世主として見出されるのが光で闇を照らすアイドルプリキュアである。  私はここで「表面上」と述べた。それはキミプリが単なる勧善懲悪にとどまらないからである。この作品は、本当に「光で闇を照らす」「救世主」のお話だったのだろうか。主人公・咲良うたの口癖であり、この作品の最重要モチーフであるところの「キラッキランラン」とは何を表象していたのだろうか。本稿では、キミプリにおいて描かれる光と闇の関係を手がかりに、この作品がただの「光が闇に勝つ物語」ではない可能性、そしてアイドルプリキュアの放つ「輝き」とその射程について考える。 光と闇の構図 光と闇の対立  キミプリにおける対立構造はいたってシンプルだ。プリルンら妖精たちの暮らすキラキランドと、ダークイーネの生まれたクラクランド。キラ...