だからまたあした。――ナナシス備忘録

EPISODE 6.0 FINAL「Someday, I'll walk on the Rainbow...」第7話「虹の向こうへ」より

 私の青春であり、私の思想を形成してきたコンテンツであるナナシスのサービス終了がアナウンスされた。

 コンテンツとしては12年の歴史の中、私は2016年に出会って、熱があったのは2020年まで。期間としてはそのうちのたった4、5年ほどでしかない。しかし、ナナシスからは数え切れないほど多くのものをもらった。「誰かの背中を、押すために」というアイドル像は私の歩みの勇気となり、「君は何がしたい?」というナナシスの中核たるテーゼは私の生き方そのものとなった。

 一方で、「君は何がしたい?」というあまりにもピュアでストレートで、どこかナイーブですらあるこの問いは、時に呪いでもあった。最初の想いを胸にどこまでもまっすぐに進むシスターズを見ていると、夢もなく、どうにか現実と妥協して生きているような、歪み折れ曲がった私自身のことが苦しくなる。

 彼女たちのようにはまっすぐではいられないかもしれない。それでも、ポケットの中にはシスターズからもらったたくさんのものが詰まっていて、そんな「小さなポケットの小さなメロディ」が私の生きる糧となり、逃れようもなく私が私であることを肯定してくれている。だから、たとえまっすぐではいられなくても、まっすぐでいようとすることはできるのかもしれないと思える。私のポケットの中にいる素の自分に向き合い続けることで。彼女たちから受け取ったまっすぐな光(Straight Lights)を絶やさないように。

EPISODE 6.0 FINAL「Someday, I'll walk on the Rainbow...」第7話「虹の向こうへ」より

 武道館でハルが、篠田みなみさんが歌った「またあした」に詰まっていた想いが、私にとっての「黄金のメロディ」となって今もまだ燃え続けている。

 「またあした」、それは「小さなおまじない」。それはお別れの言葉であり、再会の約束の言葉でもある。3rdライブでのEDムービー、5thライブでのMC、そして6+7+8thライブでのMC。それらは武道館での「またあした」と地続きでつながっている。

最初はとても小さな願いでした。(中略)今は少しだけ違います。花のようになりたいです。ただそこに在るだけでそっと誰かの、あなたの背中を押せるような。明日には散ってしまうかもしれないけれど。今日はこれでお別れかもしれないけれど。明日もあなたのまぶたの裏に私たちはいます。あなたがいまここにいてくれたように。あなたがここにいたことを忘れないように。だからまたあした。きっとまたあした。Tokyo 7th シスターズ 3rd Anniversary Live 17’→XX -CHAIN THE BLOSSOM- in Makuhari Messeより

「私たちはきっといつかまた会える」。その想いを、願いを、約束を、感情を愛と呼ばず、なんと呼ぶのだろう。Tokyo 7th シスターズ 5th Anniversary Live -SEASON OF LOVE- in Makuhari Messeより

時間を重ねれば、小さな頃特別で宝物だった石がただの石ころになってしまうように、この夢のような時間もいつか忘れてしまう日が来るかもしれません。けれど、それでも今日のこの奇跡はたしかにありました。いつか忘れてしまっても、今日奏でた音、今日届けた歌、この時間があなたの中に残ることを願っています。またこの先の未来でお会いしましょう。Tokyo 7th シスターズ 6+7+8th Anniversary Live "Along the way"より

 「またあした」と言葉を交わすことによって、私たちはある関係を結ぶ。すなわち私たちがたしかに互いにそこに在った、在るという関係を。きっとまたいつか会えると想い合うこと。それこそが愛である。

幻じゃないよ 本当さ
君と共に在るよ
約束じゃなく 祈りでもない
君が歩む道 夏が馨る
Across the Rainbow / 777☆SISTERS

 そして「またあした」という言葉は、もはや「約束」でも「祈り」でもなくなる。なぜなら、私たちは一人じゃないから。一人じゃないと確信しているから。それは愛や信であり、他者への開けである。愛や信とは、他者への自己の差し向けにほかならず、自己を超過していく。それは他者と共に在ることにほかならない。

 そうであれば、この言葉は私たちの「未来(あした)」への道へとつながっていく。そして一人では無理でも、みんなとなら世界も変えられるかもしれない。

EPISODE 6.0 FINAL「Someday, I'll walk on the Rainbow...」第7話「虹の向こうへ」より

 ナナシスは初めからずっとそれを歌ってきていた。

ひとりじゃない(キミもボクも)
その一歩踏み出して
H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!! / 777☆SISTERS

 "with you"ということを。

t7s 2nd Anniversary Live 16'→30'→34' -INTO THE 2ND GEAR- EDムービーより

Tokyo 7th シスターズ メモリアルライブ 『Melody in the Pocket』 in 日本武道館 パンフレット裏表紙

EPISODE 6.0 FINAL「Someday, I'll walk on the Rainbow...」第7話「虹の向こうへ」より

 だから、私はまっすぐな光を放つ彼女たちと共にいるから、この醜悪な世界においても、また一歩、たとえまっすぐではないかもしれないけれど、自分なりに歩いていけるのだと思える。これは「ひとりぼっち僕らの みんなの物語」。未来(あした)でまた再会するために。「だからまたあした。きっとまたあした。」

振り返ることなく季節は流れて
黄昏が胸の隙間に痛みを残して
生きて行く哀しさを時々忘れて
今日も「それじゃあ、またあした」と
君に言えますように
リボン / 777☆SISTERS

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